保険は“未来の不確実性”を小さくする仕組み
保険は“未来の不確実性”を小さくする仕組み
――印刷業が直面するリスクと、その守り方
アドバンスホールディング
梅村 崇貴
印刷業は、設備投資負担が大きい一方、納期・品質・コストの三つを常に厳しく求められる産業です。
そのため、ひとつのトラブルが大きな損失につながりやすい業種ともいえます。
私はこれまで多くの印刷会社様に寄り添ってきましたが、共通して感じるのは、
「リスクは、管理の努力だけでは完全に防ぎきれない」
という現実です。
以下では、印刷業で実際に起こりやすい5つの事例を通し、保険がいかに“不確実性を小さくする”かをご紹介します。
■ 【事例①】輪転機の故障でライン停止 —— 一台止まれば、納期が守れない
印刷会社A様では、主力の輪転機が突然停止し、修理に10日以上かかるトラブルが発生しました。
納期遅延のリスクが迫る中、代替生産の外注費が膨らむ状況でした。
動産総合保険に加入していたことで、
修理費用と外注に必要な追加費用の一部が補償され、顧客への納期を守ることができた
と社長は語られました。
印刷業にとって“機械が止まること=信用が揺らぐこと”。
その影響を最小化した事例です。
■ 【事例②】色調ズレによる大量刷り直し —— 品質問題は一瞬で表面化する
印刷業B様では、印刷工程での色調設定のわずかなズレが原因で、数万部の刷り直しが発生しました。
紙代・インク代・再印刷の人件費など、損失は大きく、納期対応も重くのしかかります。
このとき役立ったのが、
生産物賠償責任保険(PL保険)と受託加工賠償。
不良品の回収・再製造にかかる費用が補われ、
大口クライアントとの関係悪化を避けることができました。
品質トラブルは“ゼロにしたいものの、完全にはゼロにできない”典型事例です。
■ 【事例③】従業員の手のケガ —— 印刷現場では“ちょっとした油断”が重大事故に
印刷現場では、紙の裁断機・折り機・丁合機など、手指を挟みやすい設備が多くあります。
C社様でも、従業員が紙折り機に指を挟む事故が発生しました。
労災保険に加え、
労災上乗せ保険・企業傷害保険に加入していたことで、休業補償や後遺障害補償を十分に行えた
と社長は振り返ります。
労災は“いつ起きてもおかしくない”。
経営者の心理的負担を軽くする備えが重要です。
■ 【事例④】紙倉庫の水濡れ事故 —— 原材料が傷むと事業が止まる
印刷会社D様では、大雨による排水トラブルで、紙倉庫の一部が浸水し、大量の紙が使用不能になりました。
印刷用紙は在庫コストが大きく、被害が出れば即座に事業に影響します。
倉庫・什器・在庫を補償する保険に加入していたため、
紙の損失補償と清掃・復旧費用がカバーされ、予定していた生産スケジュールを大きく崩さずに済んだ
という結果となりました。
紙は水に弱い——印刷業ならではのリスクです。
■ 【事例⑤】データの誤送信・情報漏えい —— 時代とともに増える“新しいリスク”
印刷業は、顧客データ(名簿・個人情報・企業情報など)を扱う機会が多いため、サイバーリスクも無視できません。
E社様では、担当者による誤送信が原因で、取引先の個人情報が漏えいするトラブルが発生しました。
サイバー保険に加入していたことで、
・原因調査
・顧客通知・謝罪対応
・弁護士費用
などが補償され、
企業としての信頼低下を最小限に抑えることができました。
■ 印刷業の不確実性は“多層的”
印刷業は他業種と比べても、以下のようにリスクの幅が広い業種です。
設備の故障(輪転機・オフセット機・製本ライン)
品質クレーム(色調・版ズレ・加工不良)
原材料管理(紙の保管・湿度管理)
納期トラブル(代替生産の外注費)
労災事故
サイバーリスク
そのため、
「努力で防ぎきれないリスクを、どうカバーするか」が経営の要になります。
保険はまさに、
“起きたときの影響を小さくする仕組み”
として、印刷業の経営を支える存在です。
■ 印刷会社の未来を守るために
70歳を迎え、地域の印刷会社様の課題に長年寄り添ってきました。
その中で強く感じるのは、
備えがある企業ほど、復旧が早く、信頼を守り抜いている
ということです。
これからも、皆さまの印刷事業が途切れることなく続き、挑戦し続けられるよう、最適なリスク対策をご提案してまいります。
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